メタルフリー治療についてよくある質問
- Q.本当に金属を口の中から無くしたら、金属アレルギーではなくなるの?
- A.残念ながら金属アレルギーの体質そのものを改善できるわけではありません。
しかし、歯科で使われる金属材料が口腔内で溶け出してアレルゲンとなり、金属アレルギーを引き起こしたと考えられる報告がありますので(※1)、口腔内の金属を無くすことで、体に流れ込む金属を防ぐことは出来ます。また、症状が軽くなったという報告もあります(※2)
※1)歯科金属による皮膚粘膜疾患の症例は増加しつつあるといわれている。
※2)アマルガム修復術後の口腔苔癬病変の治癒
- Q.自由診療でしか出来ないの?
- A.歯によって保険診療と組み合わせることが可能です(混合診療は不可)。部分的な金属の置き換えや、部位によってはCAD/CAM冠と呼ばれる樹脂(プラスチック)の被せ物を選択いただくことも可能です。ただし、着色が気になる方や耐久年数が長く保証も効く歯を希望される場合は自由診療を選択していただく方が、長期的な口腔内の健康を考えると良好に保てる場合があります。
- Q.歯の金属と、金属アレルギーはどれくらい関係があるの?
- A.歯科で使用する金属のうち、ほとんどが金属アレルギーに対するアレルゲンとなり得るものがほとんどです。
金属アレルギー患者比率 水銀:33.6%、コバルト:32.7%、ニッケル:32.7%、クロム:30%、パラジウム:18.7%、白金:15%、金:5.6%(※3)
※3)パッチテストの結果でアレルゲンと同定された金属元素が,口腔内から検出された元素と少なくとも一種類以上一致した患者数は全体の63.6%
- Q.どれくらいの費用、期間がかかるの?
- A.患者様ごとの口腔内に使用されている金属が何箇所あるかや、虫歯・歯周病の状態、噛み合わせの状態など様々な要件によって、治療に必要な費用・回数は変動いたします。
保険診療内で数回で終えられる患者様もいらっしゃれば、年単位の治療計画となる患者様もいらっしゃいますので、一度ご相談にお越し下さい。
- Q.金属アレルギーかどうかを調べる検査は受けられますか?
- A.残念ですが、歯科では金属アレルギーかどうかを調べる「パッチテスト」は出来ません。そのため、当院では地域医療連携の一環として、提携している皮膚科へのご紹介を行っておりますので、そちらで検査・投薬・診断書の作成等を行っていただけます(かかりつけの皮膚科がございましたら、予めお申し付けください)。
- Q.金属アレルギーの症状ってどんなものがありますか?
- A.口腔内では、口腔扁平苔癬、粘膜や舌の痛み・赤み、唇の荒れ・腫れ、歯肉炎、口内炎、舌炎などがあります。口腔外(全身)では、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症、湿疹、水泡、かゆみ、皮膚の紅斑(赤み)などがあります。
- 口腔扁平苔癬:金属が接している部分の頬・舌の粘膜に、レース状や網目状の白斑のようなものが現れ,定型的なものになると両側頬粘膜にそれが表れる
- 掌蹠膿疱症:手のひらや・足の裏に多数の膿疱が両側に急に出現し、しばらくするとガサガサになる症状
- 接触性皮膚炎:かゆみを伴う発疹が表れたり、慢性的な口内炎が出ることもある
- Q.入れ歯(義歯)でも金属アレルギーは起こりますか?
- A.起こり得ます。実際にそういった報告もあります。(※4)金属アレルギーが疑わしい場合には、金属を使わない義歯(ノンクラスプデンチャー)もお作り出来る場合がありますので、ご相談ください。
※4)塩化コバルトと塩化亜鉛にアレルギー陽性反応がみられたため,レジン床義歯を作製し,症状は回復した.