悪い歯並びのリスクと矯正によって改善できることをご説明します。
日本人は顎が小さいため、歯並びが悪くなりやすいといわれています。また、歯科先進国では歯並びが悪いと、子どもの内に矯正するなど、早いうちに歯並びを整えます。これは、虫歯や歯周病に罹りにくくするためや、一部欧米では歯並びが悪いとだらしない人・家柄と思われることもあるからだそうです。
日本でも、近年はデンタルIQ(歯に関する知識)が高くなり、歯並びを気にする人が増えてきましたが、多くの場合それは思春期を迎え自身の見た目が気になり始めた頃や成人してからです。
ここではそんな悪い歯並びについて、身体への影響や治療法についてお伝えします。
悪い歯並びというと、一般的に「ガタガタの歯並び」を想像する人が多いようです。しかし実際には、歯はキレイに並んでいても前に出っ張っていたり、咬み合わせが反対になっていたり、しっかり噛めていなかったりと、悪い歯並びにも色々あります。
歯には「理想咬合」とって、人間にとってもっとも適切とされる咬み合わせがあります。理想の咬み合わせには以下のような様々な条件があります。
※1)オーバージェット
(上下の前歯の噛み合わせの状態「前後位置関係の状態」)
※2)オーバーバイト
(上顎前歯が下顎前歯に被さっている「垂直的距離の状態」)
※3)第一大臼歯
(欠損がない成人の歯列で前歯から数えて6番目の歯)
不正咬合には様々な種類があります。
歯がデコボコに並んだ乱ぐい歯や八重歯のことで、日本人に最も多いとされる不正咬合と言われており、4人に1人がこの叢生です(※4)。
上顎の歯が前に飛び出した咬み合わせで、一般的には出っ歯と通称されています。こちらも日本人に多い不正咬合の1つです(※4)
上顎より下顎が前に突出した咬み合わせで、受け口・見た目によってはしゃくれとも通称されます。咀嚼や発音にも影響がでやすい不正咬合です。
上下の顎に対して両顎の前歯が通常より前方に位置している状態です。口元が明らかにゴボッと突出するため、口ゴボと呼ばれる不正咬合の一つです。
前歯が噛まずに奥歯だけで噛んでいる咬み合わせで、前歯が閉じないため常に口がポカンと開いてしまうことから、ポカン口とも言われます。
歯と歯の隙間が開いた不正咬合で、特に前歯に隙間ができることを正中理解と言います。日本人の10人に1人がこの空隙歯列と言われています(※4)。
部分的に上顎の歯より下顎の歯が前にでている歯がある咬み合わせです。顔や顎の歪みを伴うこともある不正咬合です。
上顎の歯が下顎の歯を覆う量が多く、下顎の歯が多く隠れる不正咬合です。笑うと歯茎が見えるガミースマイルや、顎関節症を併発することもあります。
※4)叢生のある者は約26%、歯列に空隙のある者は約10%であった。
不正咬合は、「見た目の問題」を気にされる方がほとんどですが、実は見た目以外にも健康への悪影響があることがわかっています。
デコボコや歯の隙間が多いために歯みがきの難易度が高く・歯垢が溜まりやすい不正咬合は虫歯や歯周病になりやすく、前突した咬み合わせは外傷のリスクが高くなります。
また、顎に負担がかかりやすい咬み合わせは顎関節症や咀嚼障害の原因となったり、一定の歯に負担がかかる咬み合わせの場合、経年とともに歯や歯の根にダメージが蓄積し、破折や抜歯の原因となることもあります。
実際にある調査では、8020(80歳で20本の歯を残そうという歯科医師会の取り組み)を達成している人のほとんどは正常咬合という咬み合わせに問題がない人たちで、中でも下顎前突(反対咬合)や開咬の人は、8020達成者が一人もいなかったというデータ(※5)もあります。
つまり不正咬合は、歯を健康に長く保つための妨げになるということです。
※5)上下顎前歯の戦後的関係は正常84.6%,上顎前突15.4%,反対咬合0%であった。垂直的関係は正常86.5%,過蓋咬合13.5%,開咬0%であった。
悪い歯並びはお口だけではなく身体の健康にも密接に関わります(※6)。
汚れが溜まりやすい歯並びの場合、虫歯・歯周病リスクが高まります。この虫歯や歯周病の原因の一つは「細菌」で、この細菌が蝕むのは歯だけではありません。
例えば、歯周病と糖尿病は合併症と言われるほど密接な関わりがあることがわかっており、他にも心臓疾患・脳血管疾患、妊婦の低体重児早産、お年寄りの誤嚥性肺炎などの原因になるとも言われています。
その他、咀嚼障害は消化器官に影響を及ぼし、歯を多く失うと認知症リスクが高まることもわかってきています。
※6)歯周病は,口腔内局所の炎症にとどまらず,菌そのものや免疫反応により産生される炎症性サイトカイン(IL-1β, 6, 8, TNF-α など)をはじめとする炎症因子が血流を介し全身に影響を及ぼすことで,しばしば全身状態の悪化を引き起こす.
例えば、歯並びがコンプレックスの方の中には、人前で笑うことができない方や、口元に目線が来ることすら嫌がる方もいます。このような状態が長く続くと、笑うことはおろか人前に出ること自体ができなくなってしまったり、塞ぎ込みがちな生活を送ってしまう方も少なくありません。
悪い歯並びは見た目以外にも、滑舌や咀嚼にも影響します。特に受け口や出っ歯・ポカン口の方はそれぞれに特徴的な滑舌障害があり、それが原因で人との会話が億劫になるケースもあります。
また、中には歯並びが原因の容姿や滑舌をからかわれ、イジメを受けたり、耐え難いあだ名を付けられたことで、対人関係をうまく築けなくなってしまった方もたくさんおられます。
不正咬合は場合によっては、その人の人生や性格までも変えてしまうこともあるということです。
歯並びを整えることには多くのメリットがあります。まず、最も明らかなのは見た目の改善です。整った歯並びは美しい笑顔を作り出し、自信とポジティブな印象を与えます。
次に、正しい歯並びはお口の健康を保つ上で重要です。悪い歯並びは歯みがきが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。しかし、歯並びが整っていると歯ブラシが届きやすく、口腔内の環境を良い状態に保つことが容易になります。
また、正しい噛み合わせは、食事をしっかりと噛むことができるので、消化器系の健康にも寄与します。これらのメリットから、歯列矯正は生活の質を向上させる重要な手段と言えます。
歯列矯正には、様々な種類の矯正装置があります。
マルチブラケット矯正とも言われる矯正方法で、歯の表面(場合によっては裏側)にマルチブラケットという突起した装置を貼り付け、そこにワイヤーを通して歯に矯正力をかけ、歯を動かしていく方法です。
ほぼ透明のマウスピース型の矯正装置を歯に矯正力がかかるようにピッタリと作成し、歯の動き(ステージ)に合わせてマウスピースを交換することで少しずつ歯を動かしていく方法です。
Ⅰ期矯正、咬合育形成とも言われる矯正方法で、顎が成長段階にある時期に、装置を使って顎を拡げ、歯がキレイに並ぶためのスペースを作っていく矯正方法です。
顎の骨を切り、繋ぎ直すことで骨格を改善する外科的な処置です。外科矯正だけでは歯並びまでは改善しないため、手術前と後に術前矯正・術後矯正という一般的な歯の矯正が必要となります。
Before
After
治療の内容 | ワイヤー矯正(マルチブラケットシステム※クリアブラケット)による歯列矯正。 |
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期間・回数 | 1年9ヶ月・20回(カウンセリング・検査含む) |
費用 | 自由診療:マルチブラケット矯正 総額 740,000円(税込814,000円)(調整料18回分含む) |
リスク・副作用 |
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Before
After
治療の内容 | インビザラインによる叢生の歯列矯正。 |
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期間・回数 | 1年6ヶ月・12回(カウンセリング・検査含む) |
費用 | 自由診療:マルチブラケット 総額 850,000円(税込935,000円) (インビザラインコンプリヘンシブプラン+マウスピース矯正専門相談) |
リスク・副作用 |
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小児矯正と成人矯正の主な違いは、治療の目的と手段にあります。
まず、小児矯正の場合、まだ成長期であるため、顎の成長を利用して歯並びを整えることが可能です。例えば、上下の顎の大きさや位置が不均等な場合、成長を誘導して改善することができます。また、永久歯がまだ全部生え揃っていない段階であれば、歯の生える位置を調整し、予防的な矯正を行うこともあります。
一方、成人矯正では、顎の成長はほぼ終了しているため、基本的には既存の歯に矯正力をかけて歯の位置を変えることで歯並びを整えます。この際、歯が並ぶスペースがない場合は抜歯やストリッピング(歯を少し削る方法)、歯を全体的に後ろに送るなど、スペースを確保する必要があります。
小児矯正を行っても成人矯正が必要になる場合もありますが、小児矯正は成人矯正をする際、抜歯をする可能性を低くすることができます。しかし、歯並びが悪いからといって、誰もが子供のうちに小児矯正をした方が良いというわけではなく、ケース(小児矯正をしても将来抜歯矯正が必要な場合など)によっては成人後に矯正をした方が、トータルの矯正期間が短くなり、本人にとってメリットが大きい場合もあります。
歯列矯正はどの年齢でも可能ですが、治療に適したタイミングは個々によって異なります。
子供の場合、永久歯が生え変わる6〜12歳頃が最初のチャンスと言われています。この時期を逃すと、顎の成長が止まり、顎を広げることができなくなります。例外として、受け口の場合、幼児期から矯正を始める場合があります。
しかし、大人になってからの矯正治療でも、得られる効果は大きくは変わりません。ただし、抜歯矯正になった場合、通常片顎14歯・両顎28歯で咬み合わせを作るのに対し、片顎12歯・両顎24歯で咬み合わせを作ることになります。
また、矯正を始めるの年齢に上限はありません。ただ、若いほど歯の動きは早い場合が多いので、思いついたらお早めに相談しましょう。
大切なのは、自身の目標と歯の健康状態を考慮して、適切なタイミングで治療を開始することです。
初回の矯正治療の相談では、まず自分の歯並びや咬み合わせについての不満や悩みを具体的に話すことが重要です。「何が気になるのか」「どのように改善したいのか」など、具体的な要望を伝えると良いでしょう。
それに対し、歯科医師からはあなたの口腔内の状態をチェックした結果、どのような治療方法が考えられるのか、治療にかかる予想期間や費用、リスクなどについて説明があります。
もし、自分自身が抱えている疑問や不安があれば積極的に質問しましょう。例えば、「痛みはどれくらいあるのか」「日常生活で何か制限はあるのか」「矯正器具をつけている間、どのくらいの頻度で通院が必要なのか」など、些細なことでも最初に聞いておいたほうが良いこともたくさんあります。あらかじめ質問事項をメモして相談に臨むことをお薦めします。
初回相談はあなたと歯科医師との信頼関係を築く重要な機会です。自分の希望や不安をしっかりと伝え、治療について理解を深めることが大切です。アップル歯科では歯並びの無料相談も承っていますので、お気軽にご利用ください。
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