2016年に行われた政府の統計「科疾患実態調査(厚生労働省)」の結果、12〜20歳の若者の歯列の助教を調べると、空隙(すきっ歯)がある人の割合が10%だったそうです。
これを簡単に解釈すれば、10人に1人がすきっ歯であるということになります。もちろんこれを全世代、もっと多くの人で調査すれば違う結果が出るかもしれませんが、少なくともこの調査の結果では10%に空隙があったということは事実です。
すきっ歯は歯科の専門用語でいうと「空隙歯列」といい、前歯だけのすきっ歯を「正中離開」といいます。このすきっ歯を治したいという人は少なくありませんが、その方法が「矯正治療しかない」と思い、なかなか踏み切れない人もおられるようです。
しかし、実際にはすきっ歯には複数の治療法があり、矯正以外の治療法で対処される方もおられます。
※1)歯列に空隙のある者は約10%であった。
すきっ歯の治療には前述した矯正治療が第一選択肢ですが、そのほかにも「ラミネートベニア」「ダイレクトボンディング」という2つの治療法があります。また、矯正治療においても、見た目で矯正中とわかるマルチブラケットシステムという歯に突起をつけてワイヤーで引っ張る「ワイヤー矯正」と、ほぼ透明の薄いマウスピース型矯正装置を使って歯並びを整える「マウスピース矯正」があります。
では、この4つにはどんな違いや特徴があって、どんな人に向いている治療なのでしょうか。
ダイレクトボンディングとは、樹脂(プラスチックのような素材)を歯に盛り付ける治療のことを言います。この樹脂は「コンポジットレジン」という材料で、物や技術にもよりますが、天然の歯に近い風合いを出すことができます。また、ほとんど歯を削る必要もなく、施術自体も1日で終わることも多い、短期間でできる治療です。
欠点としては、取れたり・欠けたりすることがあるという、永続的な治療ではないということです。また、着色しやすいというデメリットもあり、数年後にはやり変える必要がでてくる治療です。
治療の内容 | ダイレクトボンディングによる前歯部空隙歯列の治療 |
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期間・回数 | 2回/1週間 |
費用 | 自由診療・ダイレクトボンディング(2歯):税込66,000円 |
リスク・副作用 | ダイレクトボンディングで使用するコンポジットレジンは経年や使用方法によって破損・脱落することがあります コンポジットレジンは使用状況に応じて着色することがあります |
ラミネートベニアとは薄いセラミックのシェルを、付け爪と同じような要領で歯に貼り付ける治療法です。すきっ歯に関しては、パーシャルラミネートベニアと言って、空隙の部分を埋める形状のラミネートベニアを使用します。素材がセラミックですので、汚れが付きにくく落としやすいという利点と、天然歯に近い見た目の改善が期待できます。
欠点としては、薄くですが歯を削る必要があること、コンポジットレジンよりは耐久性があるものの、咬み合わせが悪かったり歯軋り・食いしばりが強いと割れたり取れたりすることもあるということです。また、現在の歯の形状や大きさ、隙間が広すぎると歯が大きく見えてしまい、審美性を損なわれる可能性もあります。施術の前の見極めや、模型の時点での確認が必要となります。
治療の内容 | パーシャルラミネートベニアによる前歯部空隙歯列の治療 |
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期間・回数 | 4回/2ヶ月 |
費用 | 自由診療・ラミネートベニア(2歯):税込286,000円 |
リスク・副作用 | 歯の表面を少量ではあるが削る必要があります。 セラミック製のシェルは大変薄いため、強い衝撃により破損・脱離する可能性があります。 セラミックの性質上欠けることがあります。 |
歯にマルチブラケットという装置を付け、そこにワイヤーを通して歯を引っ張って動かす治療です。最近では透明のブラケットや白いワイヤーなどもあり、目立たなくはなってきていますが、やはり気にはなる程度に見栄えは損ないます。軽度のすきっ歯で咬み合わせに問題がなければ部分的にブラケットとワイヤーをつけて動かすことができますが、多くの場合、下の歯との咬み合わせを整える必要があるため、上下全顎的な矯正治療となります。
ただし、咬み合わせも見た目もしっかり治療できることを考えると、最も良い結果を得られる可能性は高いと言えます。
欠点としては、見栄えの他、ワイヤーで引っ張る痛みや口の中の異物感、期間がかかること、口内炎や口を切る等のトラブルも多いことが挙げられます。また、一定の期間は保定しておかなければ後戻りすることがあります。
治療の内容 | マルチブラケット矯正による前歯部空隙歯列の部分矯正 |
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期間・回数 | 15回/1年2ヶ月 |
費用 | 自由診療・MTM(部分矯正)+調整料12回:税込396,000円 |
リスク・副作用 | 歯の清掃が行き届いていない場合、虫歯や歯肉炎が進行することがあります。 顎関節に関節異常が出ることがあります。 長期の矯正治療により歯根吸収が生じる恐れがあります。 歯ぐきや歯槽骨がやせることがあります。そのため、術前の状態より歯肉が退縮することがあります。 体質により金属アレルギーを引き起こす事があります。 治療後、知覚過敏や痛みなどが出たり、吸収された骨が再生しなくなることがあります。 治療後、歯肉が退縮して歯が長く見えことがあります。 |
近年、急激に選ばれることが増えている矯正方法です。特にすきっ歯に対しては、部分的なマウスピース矯正が適している場合が多いです。部分的な装置であれば全顎的な矯正装置に比べ費用も半額程度になり、期間も半年程度と、シミュレーションがあるためゴールが見えやすいことも始めやすい特徴の一つです。
部分的なマウスピース矯正は前歯を中心に動かす矯正治療で、6番・7番という最も奥の歯とその手前の歯が咬み合っていることが前提となります。当然、上顎を動かす際は下顎もそれに合わせた咬み合わせが必要になるので上下の顎で行いますが、取り外しが可能なこと、お手入れの方法が通常の歯ブラシと同じで良いことから、矯正を始める上でのの障害が少ない装置となっています。ただし、ワイヤー矯正と同じく、一定の期間は保定しておかなければ後戻りすることがあります。
治療の内容 | インビザラインGoによる空隙歯列の審美改善治療 |
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期間・回数 | 7ヶ月・9回 |
費用 | 自由診療・インビザラインGo:税込440,000円(ホームホワイトニング込) |
リスク・副作用 |
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治療法 | ダイレクトボンディング | ラミネートベニア | ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 |
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イメージ | ||||
審美性 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
耐久性 | × | △ | ◯ | ◯ |
歯の切削量 | △ 多少削ることもあります |
△ 表面を薄く削ります |
◯ 基本的に削りません |
◯ 歯の隙間を削ることがあります |
治療期間 | ◯ 約1週間程度 |
△ 約1〜2ヶ月程度 |
× 約1〜3年程度 咬み合わせによります |
△ 約半年程度 |
費用 | ◯ 自由診療(1歯2〜3万円※当院の場合) |
△ 自由診療(1歯10〜13万円※当院の場合) |
× 自由診療(約65万〜80万円※咬み合わせによります) |
× 自由診療(約40万円※当院の場合) |
ダイレクトボンディングは「一時的な治療」と割り切れるのであれば、結婚式や就活に合わせて行うのも良いともいます。ラミネートベニアは仕上がりも綺麗になりますし、本人が望む場合は良いと思いますが、費用的に考えると、そこまで出せるのであればマウスピース矯正という選択肢も検討してみても良いのではないかと思います。
やはり、不正歯列における最良の治療としては、第一選択肢は矯正治療であると考えますが、人それぞれ考え方や費やせる期間や費用のこともありますので、最終的には患者様が望む治療をきちんとメリット・デメリットを理解していただいた上で判断いただくことが良いと思います。
すきっ歯に限らず、歯の治療についてネットにはたくさんの記事がありますが、大切なのは希望する治療法がご自身に適応可能かどうか、そしてあなたが望む結果になるかどうかです。すきっ歯でお悩みでしたら、ご自身で決めてしまわずぜひ信頼できる歯科医師を見つけて、相談いただいた上でご検討ください。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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