舌(ベロ)の表面は、見たり触ったりしてみると凸凹していると思います。これは舌の表面がヒダ状になっているためです。当然でこぼこなので汚れも溜まりやすく、舌に白い苔のような汚れが着いているの見た事があると思います。この汚れのことを舌苔(ぜったい)と言います。
この舌苔は細菌や微生物が集まってできたものなので、歯の周囲に着く汚れのプラークと同じようなものと言われることもあります。歯磨きは毎日される方も多いと思いますが、舌苔を毎日気にしている人は少ないのではないでしょうか?
気にならなければ無害というわけでもなく、実はこの舌苔が口臭の原因になっているということも明らかとなっています。
口臭にもさまざまな種類があり、近年の口臭に対しての関心の高まりもあり、口臭が気にして歯医者に来院される患者さんも増えてきています。(参考:マスク下の口臭、歯医者がすすめる4つの対策)
口臭の8割程度は口の中の気体が原因とされており、お口の中の細菌によって臭いの原因が生み出されていると言われています。(※1)。
その中でも、朝起きた時に出やすい「起床時口臭」や、疲れた時に出やすい口臭のような、一見して原因が口の中に無いように思える口臭は「生理的口臭」と言われています。この生理的口臭の要因はすべて明確になっていませんが、主な原因は舌苔と言われています。(※2)
(※1)口臭の大部分(80%以上)は口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)である硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S]です。その中でも硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。これら揮発性硫黄化合物は、口の内に生息している嫌気性菌が唾液・血液・剥離上皮細胞・食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。
(※2)口臭の原因はほとんどが口腔内にあると考えられている。中でも舌苔や歯周疾患との関連が最も影響があると考えられているが、官能試験値別に口腔内環境因子の値を比較した結果から生理的口臭と舌苔との関連が明らかとなった。
舌苔を取ることは口臭を抑えるためにはとても有効です。(※3)舌が湿っている状態にしてから、舌ブラシや歯ブラシを軽くあて、舌の根っこの方から前に引いて汚れをかき出してからうがいをしてお口の外に出します。
舌苔の取り方のポイントは優しく舌をこすることです。歯磨きと同じ感覚でゴシゴシしないように気をつけましょう。舌も歯ぐきと同じく柔らかい組織ですので強くこすると赤くなったり、強くしすぎると出血することもあるので注意してください。
また、介護の現場では舌を清掃することが誤嚥性肺炎の予防につながると言われています。また、肺炎の予防やきれいにする目的以外にも、味覚や舌の機能回復などリハビリテーションの意味合いもあります。(※4)
(※3)健康な歯肉や軽度歯周炎程度で舌苔の認められる者では,舌清掃を行うことはプラークコントロールよりも口臭の抑制に有効な手段であると結論づけられた。
(※4)口腔内の微生物が呼吸器系疾患の原因になりうることが指摘されており、専門的な口腔ケアにより誤嚥性肺炎によると思われる発熱が減少することも知られている。要介護高齢者においては口腔ケアの一環として行うことは有用であると思われる。
最近では、ドラッグストアなどの口腔ケア用品売場に行けば、たいてい「舌ブラシ」が陳列されています。
歯ブラシはその形状から舌を傷つけてしまったり、力加減が難しい場合もあるので、舌専用のブラシを使うのも良いと思います。
舌ブラシは、舌に優しい構造になっているため、歯ブラシよりも安全に舌磨きをすることができると思います。しかし、それでも力の入れすぎや、磨き過ぎには注意が必要です。
舌磨きは、多くて1日1回、朝の歯磨き時に軽い力でゆっくりと舌の奥から掻き出すように磨きましょう。
舌苔を除去するときは、あまり強くこすらないよう注意が必要です。力をかけ過ぎると、舌の表面の組織が傷ついてしまい、炎症を起こしてしまいます。そうなると、粘膜が剥がれ落ちたり、細菌の餌が増えて、かえって口臭が強くなることも考えられます。
舌苔の白い部分は、糸状乳頭という舌の細胞が角化したもので、間もなく剥がれ落ちる舌の一部です。舌磨きは、糸状乳頭に絡まった細菌やそのは排泄物を書き出すことが目的です。無理にこそぎ落とそうとせず、弱い力で3回程度、なぞる程度にとどめておきましょう。
「白い部分が取れない」からと、何度も磨いたり、強くブラシを当てないように注意が必要です。
舌苔は誰にもできる一般的な汚れですが、舌苔と勘違いしてしまうような見た目の似ている病気があるので注意が必要です。
1つ目はカンジダというカビが舌に付着してできる「口腔カンジダ」と呼ばれるものです。薬の服用や口腔内の細菌バランスの崩れを原因とする症状なので、舌苔とは違う口腔内の清掃や投薬を行う必要があります。
2つ目は口腔粘膜疾患の一つの「地図状舌(ちずじょうぜつ)」と呼ばれるものです。舌苔と似て白く見えますが、舌の汚れが原因では無いためこすると痛みが出ることもあります。
いずれも舌苔と勘違いされやすい病気ですが、それぞれ違った舌の病気です。舌苔だと思い歯ブラシなどでこすってしまうと炎症を起こしてしまうこともありますので、これらの疑いがある場合は早めに歯医者で診てもらいましょう。
口臭というのは、コンプレックスのためなかなか他の方に相談しづらいことだと思います。前述のとおり口臭には色々な原因があり、口臭があるからといって恥ずかしがる必要はまったくありません。
また、舌苔なのか他の病気なのか、写真と自分の舌を見比べても判断がつかないことも多いでしょう。「こんなこと聞くために歯科に行ってもいいの?」と思われるかもしれませんが、お口の悩みは歯医者に相談が基本です。
口臭・舌苔でお悩みのことがあればお気軽に歯科医院にご相談ください。当院では舌苔だけでなくお口の中全体を診させていただき、口臭改善の治療を提案させていただきます。
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